あいの動物病院治療成績1
皮膚の病気

犬のいろいろな皮膚疾患
猫のいろいろな皮膚病
免疫介在性の皮膚疾患が疑われた症例の治療例

血液の病気

免疫介在性溶血性貧血の治療例
血液凝固異常症(vWF欠損病?)の1例

心臓・血管系の病気

犬の心臓弁膜症(主に僧帽弁閉鎖不全)の病態生理と治療
犬の動脈管開存症の2症例(外科治療)
急性フィラリア症(後大静脈塞栓症)の治療例
ネコの血栓症を伴う心筋症の治療例
ネコの感染性心嚢膜炎の治療例

呼吸器系の病気

いろいろな呼吸器系の病気の治療
犬のアレルギー性鼻炎+蓄膿症の治療例
喉頭麻痺により巨大食道+胃拡張症候群を起した症例の治療例

消化器系の病気

胃拡張・捻転を起こした犬の治療例
イヌの便秘症(会陰ヘルニア)と猫の便秘症(巨大結腸症)の外科的治療例
犬・猫の胃・腸内異物(腸閉塞)の治療
唾液腺嚢腫の内科的治療
いろいろな肝臓病
イヌの先天性口蓋裂の治療例

このページでは、イヌの便秘症(会陰ヘルニア)と猫の便秘症(巨大結腸症)の
外科的治療例が記述されています。
会陰ヘルニアの病態生理(犬の便秘)
この病気は、ほとんどが便が出ないとのことで来院されます。この便秘の原因は、おしりの奥にある筋肉が男性ホルモンの影響によって薄くなってきてしまい、そこに穴が開き、大腸が入り込んで、ウンチが溜まってしまいます。
直腸憩室(直腸に別の部屋ができてしまうこと)を表した図(犬の便秘)
会陰ヘルニアの状態が続くと、ウンチが溜まり、直腸が耐え切れなくなって直腸の筋肉が切れ、上図のように直腸憩室という本来ない部屋ができてしまいます。さらにこの中にウンチが溜まるため、なお出にくいといった状況がおきます。あくまで経験上ですが、便秘の症状が出てから約半年経過した子ではこの病気になっていることがあり、1年以上経っていればほぼ全例がこの状態になっています。
実際の会陰ヘルニアと手術所見1(犬の便秘)
上記の子は約10歳のミニダックスの男の子です。写真は手術直前の状態ですが、このように肛門の周囲が腫れあがってしまっているのが外見上の特徴です。また状況としては、便秘になってから3年以上経っていて、毎日の便が大変とのことでした。こういうケースでは間違いなく直腸憩室もあります。実際、上図左が直腸から指を入れて確認している図ですが、この部分が直腸憩室です。なお、その右図は、筋肉が薄くなりできてしまったヘルニアの孔を示しています。
会陰ヘルニアの手術所見2(犬の便秘)
手術はまず、憩室を整復することから始めます。この子は両側に直腸憩室ができていたので、肛門の両側にメスを入れ、直腸および憩室を確認し、整復を行いました。
会陰ヘルニアの手術所見3(犬の便秘)
直腸憩室整復後、ヘルニア孔の整復を行います。術式はいろいろありますが、当病院では体内の組織を利用して穴をふさぐ手術を主に行っています。(もうひとつインプラントといって穴をふさぐ器材:プレートやチューブ等を用いた手術がありますが、術後の成績がよくないので当病院では行っていません)
今回は、左側は内閉鎖筋、右側は半膜様筋を用いて修復しています。写真は上からそれぞれの筋肉の写真、中間は筋肉を剥離している写真、下がそれぞれの筋肉を用いて整復した写真となっています。
会陰ヘルニアの手術所見4(犬の便秘)
上記は手術直後と2週間後の状態です。3年以上経過し伸びきった直腸を1回の手術で整復するため、術後は一部脱腸してしまいますが、1〜2週間後で元に戻ります。現在術後約2ヶ月を経過していますが、ウンチの出もよく、経過良好とのことでした。ワンちゃんの便秘は通常この病気ですので、もしこのような状態になりましたら、早めにご来院くださいね。
実際の患者さんからの声(犬の便秘)
この手術を行った患者さんと愛犬ドンクちゃんからの声です。経過は良好のようですね。
実際の症例のレントゲン写真 (ネコの巨大結腸症)
この子は5才の避妊メスのネコちゃんです。過去に事故にあって骨折してしまっていたのですが、いまは完治しています。症状は、便がなかなかでないとのことで来院されました。レントゲンを見ると上記のようになっていて、正常な子とはまったく違った見え方になっているのがわかりますよね。
手術時の写真(ネコの巨大結腸症)
しばらくはウンチをやわらかくするお薬や浣腸等で様子を見ていたのですが、段々でなくなってきたので患者さんの希望もあり、結腸切除術を行いました。これが上図で示されているものです。この手術は結腸を短くして、水分の吸収を少なくし、ウンチを柔らかいままにし、ウンチの排出をよくするための手術と思っていただければいいです。
手術後のレントゲン写真(ネコの巨大結腸症)
手術後にレントゲン撮影を行ったのですが、以前溜まっていたウンチはほとんど認められていません。また、完全には内服は切れないのですが、かなり状態はよくなってくれて、患者さんも満足されていました。治療に関しては、通常は内服で便をやわらかくする薬や、直腸の動きをよくするお薬で様子を見ますが、重症になると手術が選択されます。この手術後約2年間は様子を見れたのですが、残念ながらまた再発(便秘)をするようになってしまったので、再度手術を行いました。
2回目の手術後の写真(ネコの巨大結腸症)
今回は骨盤を広げる手術として、骨盤拡張プレートというものがあるのですが、これを使用し、骨盤狭窄を改善する手術を行いました。写真は術後のものですが、しばらくは歩き方ががに股のようになってしまうのですが、術後1ヶ月もするとだいぶ改善され、ほとんど問題なくなります。術後の経過も非常に良好とのことです。もし、ネコちゃんのウンチの出が悪いということでしたらほとんどがこの病気ですので、出来るだけ早い手術をお勧めしていますので、御来院くださいね。
患者さんからの声1回目(ネコの巨大結腸症)
この方、本村さんは、掛川市に在住されている方です。いろいろな病院を回ったようですが、やっと満足できる結果に至ったようです。経過もよさそうですね。
患者さんからの声2回目(ネコの巨大結腸症)
術後1年経過して、連絡がありました。経過は非常にいいようですね。
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