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このページでは、猫の骨肉腫の治療例について記載しています。
初診時の様子
この子は、12歳のネコちゃんです。1ヶ月以上前から首に腫瘤ができて、大きくなってきているとのことで来院されました。
レントゲン写真
これがレントゲン写真ですが、この場所にできる腫瘤で、ここまで大きくなってくるものは、すぐに治療を行ってあげないと、予後はすごく悪くなります。また、筋膜を上に押し上げている特長的なレントゲン所見が出ていますが、これが、よく言われているワクチン誘発性肉腫の特徴です。しかし、この子はこの1年注射を打っていない(ワクチンはそれ以上)とのことから、おそらくワクチン誘発性ではないことが推測されます。
手術直前の写真
このようにかなり巨大な腫瘤があります。またレントゲンからも底部から発生していることがわかりますので、ちょっと難易度の高い腫瘤摘出術となりました。
手術時の写真1
このような手術では、皮膚との癒着状況が不明なため、まず腫瘍後方から切皮し、指を入れて、皮膚との癒着を確認し、安全と思われる皮膚を一気に切っていきます。
手術時の写真2
横から見た所見ですが、明らかに筋肉下から発生し、筋肉との癒着が非常に強固にあります。この場合は、安易にメスを入れると出血が多量に出てきますので、できるだけ糸で筋肉を結んで摘出します。
手術時の所見3
腫瘤は摘出できましたが、かなり筋肉を剥離してしまった状態です。この状況では正常な筋肉付着部への再縫合は不可能ですので、切除断端部分を吸収糸で縫合します。
手術時の所見4
皮膚縫合ですが、かなり欠損しているため、このような場合では他の部位から皮膚を持ってきて縫合します。写真では皮膚左上から一部皮膚を回転させて持ってきています(回転皮弁法)。これで、まず仮縫合を行い、皮膚の緊張がないか確認していますが、皮膚が張ってしまっている場合は減張切開といって写真のようにメッシュになるように皮膚を切ります。これによって緊張がかからず、きちんとくっついてくれます。
摘出腫瘤+病理組織検査結果
かなり大きな腫瘤ですが、何とか切除できました。後日出てきた診断は骨肉腫とでてます。一般的には、骨に出来る腫瘍であって、このような部位には出来ないのではないか?と疑問をもたれる方もいますが、骨以外にも骨肉腫はできます。しかし、この部位での骨肉腫の発生は、自然発生例では非常に低いことが推測され、おそらく何らかの影響により腫瘍が発生したと考えるほうが妥当と思われます。
抜糸直前の状態
約2週間後の状態です。毛並の方向は一部変わってしまいましたが、皮膚はきちんとついてくれました。今は抗がん剤(ロムスチン)を飲ませて、様子を見ている状態です。なかなかある病気ではありませんが、もしこの場所に、このような形でできものが認められ、どんどん大きくなってくるようでしたら、悪性腫瘍の可能性が高いので、できるだけ早く御来院くださいね。
実際の患者さんからの声
この方は、森町在住の加藤さん(ネコちゃんの名前はりょうちゃん)です。いろいろと悩まれたようですが、今は非常に経過良好とのことです。
実際の患者さんからの声2
抗癌剤を使用して、9ヵ月たってからの患者さんからの声です。一時的に白血球が少し落ちましたが、検査ではじめてわかる程度で、特に特別な治療もせずに回復し、その後は抗癌剤の量を調節して、問題なく今に至っております。
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