あいの動物病院治療成績1
皮膚の病気

犬のいろいろな皮膚疾患
猫のいろいろな皮膚病
免疫介在性の皮膚疾患が疑われた症例の治療例

血液の病気

免疫介在性溶血性貧血の治療例
血液凝固異常症(vWF欠損病?)の1例

心臓・血管系の病気

犬の心臓弁膜症(主に僧帽弁閉鎖不全)の病態生理と治療
犬の動脈管開存症の2症例(外科治療)
急性フィラリア症(後大静脈塞栓症)の治療例
ネコの血栓症を伴う心筋症の治療例
ネコの感染性心嚢膜炎の治療例

呼吸器系の病気

いろいろな呼吸器系の病気の治療
犬のアレルギー性鼻炎+蓄膿症の治療例
喉頭麻痺により巨大食道+胃拡張症候群を起した症例の治療例

消化器系の病気

胃拡張・捻転を起こした犬の治療例
イヌの便秘症(会陰ヘルニア)と猫の便秘症(巨大結腸症)の外科的治療例
犬・猫の胃・腸内異物(腸閉塞)の治療
唾液腺嚢腫の内科的治療
いろいろな肝臓病
イヌの先天性口蓋裂の治療例

このページは自身の赤血球を自身の免疫で壊してしまう病気について記載しています。
赤血球を壊してしまっている図
上記は免疫介在性溶血性貧血(IHA:immuno-mediated hemolytic anemia)を表した図です。原因は大きく分けると2つあり、1つは赤血球の膜に生化学的変化がおきてしまっているという場合ともうひとつは正常な免疫調節機能に異常をきたしている場合です。前者では上図のように赤血球に抗原が付着して起きるような場合などのことをいい、後者では自分の赤血球を間違って攻撃してしまう場合のことをいいます。原因はいろいろとありますが、前者は主に薬物、化学物質、ウイルス、細菌、寄生虫等によっておきますが、後者は特発性(原因がよく分からない)場合が多いです。
顕微鏡でみた血液像
上記は実際の免疫介在性溶血性貧血の症例から採取した血液の顕微鏡像ですが、通常赤血球は円盤型で中心部がへこんでいるだけの状態なのですが、この赤血球では球形の形を呈しています。これは、免疫によって赤血球の膜に抵抗力がなくなり、浸透圧の関係でこのような形になってしまっています。
IHAに関する検査(赤血球膜脆弱テスト)
この検査は赤血球の膜が弱くなっているかどうかを調べる検査です。通常の赤血球は0.54%の食塩水(生理的には0.9%です)でも、壊れないで維持できるといわれています。しかし上記のようにこの病気を持つ症例の赤血球は膜が弱くなってしまっているため、このように生理食塩水の濃度を薄くすると浸透圧を維持できなくなり、壊れてしまってその成分が赤褐色となって現れてくるのが特徴です。(この検査でこの病気の85%の症例が陽性と判断されるようです。)
免疫介在性血小板減少症を発症した症例
また、赤血球だけではなく血小板も壊してしまう状態を合併してしまうと予後は要注意といわれています。上記は単独で免疫介在性血小板減少症を発症したマルチーズですが、血小板が少なくなると、このように皮下出血斑が多数認められるようになります。
治療
まず治療としては、大きく分けて2つあり、1つ目は抗原に対する治療、2つ目は抗体に対する治療です。前者では抗ウイルス薬や抗寄生虫薬などを使用します。後者ではステロイドや免疫抑制剤などを使用します。いずれにしてもとても怖い病気ですので、ここ数日で呼吸が妙に速くなってきたとか、舌が白くなってきたなどの症状が出てきましたら、すぐにご連絡くださいね。
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